meineko’s blog

元つくばの某独立行政法人勤務の植物屋です。最近は、ほぼ、突発天体の話題です。

ベテルギウス

昨日の日本天文学会の記者発表の1つが、なゆた望遠鏡で測ったベテルギウスの直径でした。
なゆた望遠鏡で異常に膨れたベテルギウスの形を捉えた!(西はりま天文台)


いや、しかし、あれだけの結果で、ベテルギウスの直径が、急に2-3倍に変化しているって言い切ってしまっていいのかなと思います。
まぁ、測定結果については、慎重に検討されているのだとは思いますが、過去の観測データと違う直径がでたことの原因を、ベテルギウスの直径が、最近、大きくなったからだと結論付けるのは早計かな?
単純に考えて、見えている光球ってどこなのかって気もしますが、波長が可視だというので、どうも、その問題ではなさそうです??
で、直径2倍になると、表面積4倍なので、実視等級が明るくならないといけません。
膨らんだのに伴って、温度が下がって、可視光での明るさが変わらないというのは考えられますが、大金さんの観測で、最近になって色が急に変わったようには見えないです
#2009年から、赤くなっているようには見えますが。


まぁ、こう言っては申し訳ないですが、学会発表なので。
論文にする時には大変そうと思いました。


(追記)
某氏とFBで話していて、だいぶ事情がわかってきました。
観測波長は、490-570nmで、そこにあるTiOの散乱だか、輝線だかが寄与しているのではないかということです。
過去のこの波長での観測点数は多くないし、脈動の位相と絡めてちゃんと解析しないとダメじゃないの?
TiOが、星のどこにあるかは、本当のところはよくわかっていないはず??
ミラ型変光星なら、少し内部に出きて、それが光を遮るから、可視光での変光範囲が大きくなる原因だと考えられていますが。


記者発表で紛らわしいのは、「なゆた望遠鏡の新しい観測装置でベテルギウスの視直径が精密に測れました」が、本来の主眼のはずなのに、測ってみたら従来の報告より2-3倍位大きかったってところを強調している点です。
まぁ、そうでないと、記者発表としてはインパクトが無いですが。
ベテルギウスは、なにかと、超新星爆発に絡めて、みんなに認識されているんだから、そろそろ、「すぐにでも、超新星爆発してもおかしくない」と言い出す人が現れそう??
今回の成果の真価をみんなに説明するのは大変だとは思いますが、プレスリリースで、そこを端折るのは、どうも。
#まぁ、少々、小うるさく書いたのは、先日、生物系の研究のプレスリリースって、「すぐにでも画期的な薬や治療法ができるように読み間違えてもおかしくない」のが多いよねって、指摘を読んだばかりだからだと思います。あしからず。
プレスリリースってバカにしすぎてないか?(アメリポスドクの歩き方)


ところで、しばらく前に、ベテルギウス、小さいって発表はなかったっけ?あれは、干渉計で、波長も赤外だったと思ったけれど。


(追記2)
正確さにかけ、元発表者の意図とも違っているとの指摘を受けました。ベテルギウスの直径が従来の値の2-3倍になっているのが、発表の骨子だということです。
上記の文章は、プレスリリースや新聞記事、それに、某氏とのFB上での短いやりとりを元に、自分なりの考えをまとめたものです。そのことをお含みの上、読んでいただければと思います。正確な情報は、実際の発表されたものをご参照ください。


また、指摘を受けて、線を引いて削除したり、少々手を入れました。修正前にも読まれた方には、ご了承ください。


(追記3)
さらに、線で消したところを増やしました。
一番先に当たるべきだった一次ソースの、天文学会の講演予稿集に当たり忘れていた、ぽかに気づいて、反省しました。