きっかけは、id:ugemさんの観測でした。
ugemさんが、その晩に極小予報されていた星から選んだと思うのですが、眼視観測をされて、vsolj-mlへ報告されました。
それに、Ngaさんが、レスをされて、Cracowカタログだと周期が違っている(ミスプリの可能性)こと、変光範囲も0.6等とされているけれど、HIPPARCOSカタログのデータでは、変光範囲が、0.2等くらいしかないことを指摘されました。
この星、Gyldenkeらによる1972年の多色測光が報告されていて、確かに、Vバンドだと0.6等くらいの減光が捕らえられています。
これに触発されて、私やNjhさんが観測を始めました。しかし、予報時刻付近に、明瞭な減光がつかまりません。
予報が大幅にずれている可能性もあるのですが、AN ATLAS OF O-C DIAGRAMS OF ECLIPSING BINARY STARSとかをみると、O-Cは、それ程大きくありません。
実は、HIPPARCOSのデータは、観測点が少なく、変光範囲が小さく見えるのは、そのためだと思っていたのですが、減光がつかまらないことから、それならと、ASAS-3の観測を調べてみました。
で、ASAS-3の観測では、変光範囲は0.1等くらいしかありません。
さて、では、1972年の観測はなんなのでしょう?
- 近くにお供の星がいて、私たちの観測ではそれが分離できていない?
- 違う星を観測している
- 変光範囲が変化した。
1は、i Booなどの例があります。ただし、Gyldenkeらの論文にそういう記載が無いので可能性は低いです。
2.も、論文の比較星の記載などから、可能性は低いでしょう?
で、3.ですが、第3体の影響で、見かけの軌道傾斜角(i)が変化して、変光範囲が変化して見える例として、IU Aurの例などが知られています。
なお、Torresらの分光観測で、第3体の存在がわかっています。
Torresらの求めた連星の要素から、じつは、ZAMSに近い星として、HS Hyaは、引用文献に取り上げられることが多い星のようです。
しばらく、この星につき合わされそうです。
とりあえず、全位相の光度曲線かな?
なお、VSOLJのdatabaseをみると、Ngaさんの観測が3晩あるだけです。