meineko’s blog

元つくばの某独立行政法人勤務の植物屋です。最近は、ほぼ、突発天体の話題です。

ZWO ASI990MM pro

SONYのSWIRセンサーを使ったZWOのカメラを導入しました。
https://meineko.com/etc/ASI990MMpro-0.jpeg
昨晩、ファーストライトで、少し撮ってみました。
ノイズレベルが高くて、ダーク差し引きをしないと何も見えないレベルです。
まぁ、もともと、長時間露光を前提としたセンサーでは無いと思います。


以前から、赤外でダスト減光時の新星を撮って見たいと思っていたのですが、カメラの値段が下がらないので、断念していました。
SWIRカメラ、以前から、半導体検査、光通信の研究等で、需要がありましたが、やはり用途が特殊なので、値段がなかなか下がりませんでした。ドローンを使った作物の生育調査とか用途も広がってきたのですが、なかかな、普及と言うまでは行きません。
天文用の可視光のCCD/CMOSカメラの値段が下がったのは、一般のカメラ用途に需要が大きいことの恩恵を受けているからです.
#その反面、開発の方向性が、それらの用途を目指したものなので、天文用とは、少し方向性が違うのが難点ですが。例えば、ピクセルサイズの極端な細密化とか。
あと、一般用途のカメラだと、画像形式がTIFF等が多かったです。天文用途なら、Fits画像で保存したいですよね?


そこで、SONYが開発したチップをIMX990チップを使ったカメラが出てきて、値段も落ち着いてきたところに、ZWOからASI990MM proカメラが発売されたので、導入しました。
#IMX991チップを使ったASI991MM proもライナップされているのですが、やっぱり、チップサイズが少しでも大きい方が欲しいです。
ZWO、最近、クレジットカードのトラブルがあったそうで、支払い方法がPaypalのみになっているのですが、当然、Paypalの支払額の上限にひっかってしまいました。
ZWOに相談したら、銀行の電信送金で送れということだったので、口座を持っている銀行に出向いて四苦八苦して送金しました。
輸入時の税金等まで含めると、国内で扱っているショップでの値段とあまり変わらなかったです。送金の手間なども考えると、国内から買ったほうが良かったかもしれません。


さすが、ZWOのカメラ、いつも使っているMaxImDL経由で、他のZWOのCMOSカメラと同様の手順で、ASCOM経由で接続できました。
https://meineko.com/etc/ASI990MMpro-1.jpeg
ただ、ADCが12ビットのはずなのに、MaxImDLでヒストグラムを表示させてみると、16ビットくらいの階調があります。このあたり、要検証です。
露出時間も、普通に60秒とかで撮れました。市販のSWIRカメラは、1秒以下の動画撮影用の露出時間にしか対応していないものが多い中で、これは、助かります。


で、試しにいくつかの天体を撮ってみたのですが、まず、目につくのが、ノイズレベルの高さです。
ダーク画像を引かないと、何も写っていないように見えます。
https://meineko.com/ccd/M13-ASI990MMpro-test.jpg
量子効率ではなく、ノイズレベルでS/Nが制限されていて、感度は低い印象です。
冷却は、-10℃で、80%でした。
あと、撮影時にかなり発熱するのか、連続で撮影をしていると、センサー温度が上がる時があります。
この点も、今後の要検証です。
昨晩は、まだ、測光用のフィルターが納品されていないので、ノーフィルターです。
#SWIRカメラなので可視光にも感度があります。
やはり、チップサイズが限られるので、天体の導入で苦労しました。セレストロンのC5にx0.63のレデューサーをつけていますが、焦点距離800mm相当で、視野が30’以下です。
もう、x0.3倍のSCT用レデューサーって手に入らないものでしょうか?
#それとも、もっと、明るい光学系に変えるか?
心配していた、赤外での焦点位置の違いも問題ないようです。


さて、測光用フィルターですが、Stromgren y filterで、世話になったCustom Scientificに問い合わせをしたところ、発注できました。
検出器がInGaAsなので、1700nmまでくらいしか感度が無いので、J bandとH bandの短い方になります。JとHを頼みました。
もともと、これより長い波長になると、装置自体の放射も問題になり、装置全体を相当冷やさなくてはいけなくなるので、アマチュアの手には余ります。
検出器も、HgCdTeとかで無くてはなりません。すごく高額になりますし、軍需規制で入手手続きが煩雑になります。


さて、観測は、フィルターの納品待ちです。
これまでも、SSP-4という1次元の検出器があったのですが、可視で暗い暗い天体をダイアフラムに入れるとかの場合に難点がありました。
アマチュアの赤外での測光ですが、2次元になってどうなりますやら。
まぁ、高い機材を買っても、実力が伴わずに、どうにもならないという可能性も残りますがw
#テスト撮影の結果をみると、危惧していた露出時間の関連で肉眼光度の天体しか撮れないとかいう事態は避けられそうです?
まぁ、色々課題はありそうですが、CCD測光だって、256x256 8ビットのST-4で始めたのだし、どうにかなるでしょう?