meineko’s blog

元つくばの某独立行政法人勤務の植物屋です。最近は、ほぼ、突発天体の話題です。

プルキニエ現象

Wikipediaには、

色は網膜の視細胞で感知しているが、明るい場所では赤が鮮やかに遠くまで見え、青は黒ずんで見える。一方、暗い場所では青が鮮やかに遠くまで見えるのに対して、赤は黒ずんで見える。これは、桿体と呼ばれる視細胞の働きによるもので、人の目は暗くなるほど青い色に敏感になる。

と、書かれています。
現在の生理学的知見を加えて、暗順応の際に、桿体と錐体の性質の違いで、目の分光感度のピークが、短波長側にシフトする現象として理解されています。


これとは別個に、月夜とか背景のが明るい時に、赤い星がより明るく見えることがあります。
この問題、結構、影響が大きく、同じ人が同日に目測しても、倍率の低い双眼鏡やファインダーでの目測と倍率が高い主鏡視野で、目測値が違ってしまったりして厄介です。
このことをプルキニエ現象によると記述してある変光星の解説書が多くあって、「あれ、プルキニエ現象とは違わない」と、時々、指摘されます。
以前も、一度、VSOLJのMLで話題になって、いったい何時頃からそういう記述があるのだろうと調べた方がおられた事がありました。
確か、ずいぶん古い本で既にそうなっていて、「みんな、原典に当たらずに、孫引きするうちに定着してしまったのだろう、ひどいよね」という話に落ち着いたと記憶しています。


他に、赤い星は、じっと見ているとなんだかだんだん明るく感じられるという問題があって、あまりじっと見ないこと、第一印象を大切にするとか、迷ったら、一度目を離して、もう一度やり直すと良いとか言われています。
#ただし、あまり細かいことばかり、最初に言うと、難しそうと身構えてしまわれることを懸念して、入門的な解説ではあまり書かれないこともあります。
#また、一度、自分でも実感してもらった時点で、実はと解説したほうが身につきそうって話もあります。


暗順応した眼とV等級は、感度の最大波長は似ているのですが、波長の範囲とかの特性は違います。で、「眼視等級とV等級は違うので、星図にV等級で星の明るさが書かれているのは、参考にならん」というご指摘も時々あります。
ただ、これは、以前は、星図ごとに等級の原典(原点)が大きく違うものが混在していた時期があったので、HIPPARCOS等、暗い星まである程度正確な星表が出た時に、それを使って作りなおした経緯があります。「そもそも、眼視等級の定義って何?みなが納得できる形で定義できるの?眼視との僅かな違いを問題にするよりも、みんなで同じ比較星等級を使ったほうが系統誤差が減るのではないか、星図に載せる等級はV等級で統一してしまう」という議論がされた経緯によるものです。
実際に目測していて、違いの気になる比較星があっったら使わないようにするとか、運用でカバーしたほうが良いと思われます。


今回、この文章を書くにあたって、少し調べていた過程で、いるか座新星のキャンペーン用にKatさんのかかれた文章が、大変良く書かれていることを再認識しました。
参考にしてみてください。
暗い星を見る秘訣