ugemさんのところで結論が出てしまっています。
でも、ここ数日、調べたりテスト撮影をしたので、うちでも書いておきます。
フィルムの頃は、ISO感度の違いはフィルムの違いでした。
フィルムの乳剤を工夫したりして、感度を稼いでいました。
長時間露光による相反則不軌を抑えるために冷却したり、プリフラッシュしたり、水素増感することもありました。
でも、デジカメの場合は、フィルムにあたる撮像素子(CCD/CMOS)を取り替えたりせずに、ISO感度が変えられます。
で、ISO感度を高くするとフィルムの時のように、短い露出でシャッターが切れたり、画質の粒状性がやや悪くなるように見えます。
さて、デジカメのISO感度ってそもそもなんでしょう?
以前から、デジカメのISOってなんぞやとつぶやくと、複数の方からgainのことですよと教えていただいていました。
CCDのgainって言ったら、ADU/e-です。
ADUは、analog to digital unitのことで、ADU/e-は、一電子を何デジタルユニットに変換するかという設定のことです。
CCDは、光子を電子に変えて蓄積します。CCDカメラでは、この電子を読み出し回路で電圧の値としてで読みだして、A/Dコンバーターを通して、デジタルの値に変えて記録します。
このA/Dコンバーターのところで、1電子当たり、何デジタルユニットに変えるかの設定がgainです。
冷却CCDカメラの場合、gainは、CCDがピクセルに貯められる最大の電子の数(full well capacity)とA/Dコンバーターの性能の組み合わせで設計します。
理想的には、1 ADU/e-なのでしょうが、2.5 ADU/e-とか、0.8 ADU/e-とかになっていたりします。
2.5だと、CCDの本来持っている性能を活かしきれてない事になりますし、0.8なんてのは、本来電子は1以下には分けられないはずなのでおかしい設定なのですが、実際に手に入る部品との絡みや、CCDチップを変えてカメラのラインナップを揃える際に基盤は共通にしたいとかいろいろな絡みがあってそうなっています。
ところが、デジカメの場合は、そのgainがいじれるようになって要るのです。
フィルムカメラの時の露出時間や絞りの感覚をデジカメでもそのまま活かしたいという設計思想なのでしょう?
さて、前置きが長くなりました。
で、実際のデジカメでのISOとgainの関係がどうなっているのかと思って資料をgoogleったら、以下の様な情報が見つかりました。
Profiling the Long-Exposure Performance of a Canon DSLR
EOS kissの例で、ISOとgainの設定が書かれています。
さて、ISOの正体がわかったので、では、デジカメで天体写真を撮る場合のISOと写りの関係はどうなるでしょう?
CCDの受ける光量は、光学系(レンズの焦点距離と絞りで決まります。F値ですね。)と露出時間で決まります。
ISOの設定は、CCDで受けた光をデジタルユニットに変える時の違いだけですので、極限等級はISOによらず変わらないはずです。
一方、gainを変えると、14bitのA/Dコンバーターで扱える電子の数の範囲が狭くなるはずですので、より飽和しやすくなります。
ISO100の時だけ写りが悪いようにみえますが、他は変わらないように見えませんか?
ISO100だけ悪いのは、目で見やすように表示の階調を圧縮して表示している影響かも知れませんし、gain以外の内部処理に多少差があるのかもしれません。
一方、明るい星のprofileを表示させてみると、ISO1600当たりで飽和してるのがわかります。
なお、EOS 60Da+17mm F3.5 15秒露出です。
こうして考えてみると、測光目的では、デジカメ毎に最適なISO設定てのがありそうですね。