meineko’s blog

元つくばの某独立行政法人勤務の植物屋です。最近は、ほぼ、突発天体の話題です。

測光時のフォーカス

系外惑星のtransitの測光では、カウントを稼ぐためにフォーカスをぼかすのが、提案されています
この観測は、星に対して惑星が隠す面積が小さいので、千分の1等級での変化を測らないといけないからです。
S/N向上のために、カウントを稼ぐことで、偶然誤差を小さくする必要があります。
で、transitの観測では、それほど時間分解能は必要ないので、カウントを稼ぐために露出時間を伸ばしたりするわけです。
ところが、CCD等の受光素子に貯められる電子の数には構造上の上限があります(full well capacity)。
露出時間を伸ばしすぎると飽和してしまって、それ以上はカウントを稼げません。
これをフォーカスぼかして、複数素子に分散させることで、貯める電子の数を稼ごうという考えです。


その他、表面照射型のCCDの電極等の回路による感度の無い部位の影響を減らす目的もあります。
最近は、特に大画素数でないと消費者にアピールしないので、画素のサイズを小さくする傾向があるので、その素子で測光をしようと思うとこの点の注意が必要です。
カメラレンズとCCDの組み合わせだと、星像が小さいので、この問題が顕著になります。先日のぼかしたら良くなったと言う話も、その例です。


ところがです。
このどういう場合にフォーカスぼかしが有効か、原理に照らして考慮して使わないといけないのに、「測光の時は、フォーカスをぼかす」というのが独り歩きして伝わってしまって、逆に誤差が大きくなる事態を散見しています。


フォーカスをぼかして。星像を大きくすると、バックグラウンドの空の明るさが悪さをする時があります。
空が明るいところで、暗い星を測る場合は、フォーカスを合わせたほうがばらつきが小さくなります。
わたしも、ミラーシフトでフォーカスが少しボケていても気にせず撮影して、後から、しまったと思うときがあります。
暗い星の時は、フォーカスを合わせて、測定の際のアパチャも小さ目にします。