meineko’s blog

元つくばの某独立行政法人勤務の植物屋です。最近は、ほぼ、突発天体の話題です。

日常化するNHKの捏造棒グラフ

実験データのグラフでも、時々、原点が0でないグラフを書いてしまって、後からしまったと思うこともあります。
例えば、開花までの日数の変化のグラフ、平均100日前後で、10日のぐらいの幅で変化があったとします。
これを原点0で書いてしまうと判り難いグラフになってしまうのです。
平均からの差のグラフにすれば、問題は減るのですが、今度は、(legend-グラフの説明を読まないと)平均が100日前後というが伝わり難くなります。


で、取り上げた理由は、少し、別のところにあります。
高木さんのこの記事に対する、他のblogの反応が、賛否、まっぷたつだったからです。
捏造という部分に過剰に反応して、釣りなのかとか書いている方もいますが、それを除いても、
原点0でないグラフに対する反応も、まっぷたつな様な印象だったのが、少し、ショックでした。


でも、実は、この文章の大事な点は、原点が0でないグラフが印象操作を狙ったものなのかというところでなく、

これも悪意を持って印象操作したわけではないのだろう。テレビではいちいち増えたとか減ったとか言わないと気が済まないのではないか?データをグラフで示すというのは、なにも変化があることを示すためだけじゃない。「変化がない」ことを示すことも立派な重要な情報であるはずだ。「横ばい」と言えばいいものをわざわざ拡大して無理に「増加している」だの言う様子は、NHKでさえ見かける。

に、ある気がします。

つまり、新規性=newsという原則に、マスコミはあまりにも縛られていて、窮屈なのではないかと感じることが多いです。
他に、なんでも、世界/日本初とか、世界/日本一とかにこだわることろにも感じます。
特に、NHKのTVのnews等では、初めてであるとかの事実は、newsを伝える最後のフレーズに使われることが多いので、特に、その様な印象を受けます。


科博の植物園に口径50cm望遠鏡が出来た時に、取材にこられた地元の新聞記者の方が、「県内一ですよね」聞かれたので、「そうではないです」と答えた時の、がっかりした様子は、印象に残っています。
このマスコミの(時には前提条件沢山付けての)日本初/一、連発には、時々、首を傾げることがあります。
#そんなの前からあるだろう...と感じるやつです。


さて、最初の原点0でないグラフの問題に戻ると、TV番組等で短時間しか示されない時には、見ている方としてはグラフの目盛り等に気を配りきれない時も多いので、やはり、(もともとはそういう意図が薄いにしても)印象操作との誹りは、受け易くて当然と思います。
あと、最初に出した開花に数の例では、10日の差が有為かどうかは、サンプル数を増やして、統計的に確からしさを推定することが出来ますが、製造業の事業者数の経年変化の様なグラフでは、経年の傾向を見て有為かどうか判断をすることが多いので、やはり、原点が0でないグラフは、判断材料を示しきれていないと思います。