meineko’s blog

元つくばの某独立行政法人勤務の植物屋です。最近は、ほぼ、突発天体の話題です。

CAMBIA

2/10付けNatureに載った論文。


植物の遺伝子導入と言えば、オルガネラの形質転換をしたいとかの場合に使う物理的な方法を除けば、圧倒的に、アグロバクテリウムを介したTi plasmidによるものです。
わたしが、現在の研究分野に入った頃は、本来に宿主でないイネにどうやってアグロを感染させるかの糸口が見つかった頃でした。物理的な方法に比べて効率が良く、組み込まれる遺伝子の数もコントロールされていて、これなしには、研究が進まない方法です。


で、今回の論文は、アグロバクテリウム以外の「植物と共生関係にある菌」に改変Ti plamidをいれたら、その菌で植物の形質転換ができたという論文で、結構、画期的です。


でも、この論文が注目されているのは、その科学的価値のみでなく、この研究を行ったCAMBIIAという団体が、ソフトのオープンライセンスに近いライセンスで、この技術を提供しようといっていること...というか、もともと、そういったことを目指して設立された団体だからです。
Hot Wiredあたりで紹介された記事は、その点のみ重点的にを扱っています。


普通は、(研究段階は良いのですが、)実用化しようとすると、ベクター、プロモーター、導入する遺伝子、導入法に至るまで様々なライセンスが絡んできます。
日本も防衛特許的に、形質転換に関わる基本技術の特許を沢山取らないとなんて旗が振られて時期もあります。
ただ、本当に普及させるに足る形質転換植物ができたら、特許払えば良いジャンくらいに、わたしなんかは、斜めに構えていましたし、くだんのアグロバクテリウムを介した形質転換法の特許は、97年に切れてるそうです。


で、Ti plasmidを入れてやれば、様々な菌が形質転換能力を身につけるということになると、菌によっては扱いが厄介な菌もできてしまいそう?こっちの方が問題?