ケプラー衛星は、主に系外惑星探査を目的としてこと座とはくちょう座の間の天域(Kepler field)をずっと観測していたのですが、姿勢制御の4つの弾み車のうち2つが壊れて、精密な姿勢制御が難しくなってしまいました。そこで、他の天域に向け直して、姿勢制御が厳密でなくてもできる観測を始めています。K2ミッションと呼ばれています。
そのK2ミッションで白色わい星WD 1145+017に奇妙な減光が見つかり、Natureに論文が公表されました。
消えかかった白色矮星の周りを回る崩壊しつつある惑星(Natureハイライト)
さて、その論文によると、K2ミッションのデータを整理していたら、この白色矮星で、4.5-5時間毎に、僅かな減光が見られた。減光の光度曲線の形や減光幅は、時期によって徐々に変動が見られたそうです。地上のフォローアップ観測では、概ね顕著な現象は見られなかったが、FLWOの1.2mの観測で、4/11に4.5時間開けて2回、40%もの大きな減光が見られた。継続時間5分で、非対称だった。また、MEarth-south望遠鏡で、4/17に連続して2回、10-15%の減光が見られた。なお、FLWOが、Vフィルターだったのに対して、こちらは、715nmのロングパスフィルターでした。 4/11と4/17では、軌道周期4.5時間とした場合、位相がおおよそ180度違ったそうです。分光による視線速度変化の観測も行っていて、少なくとも、木星より大きな惑星は無い。白色矮星起源のMg, Al, Si, Caの吸収線が見えていて、白色矮星は若くて、まだ、それ程冷えていないと考えられる。光度変化が非対称でるあること、深さの変化が激しいことから、食を起こしているsolid body自体は小さくて、その周りにdustを纏ったような天体では無いかと提案されています。また、白色わい星といえども、こんなに近くに、そのような天体が安定に存在し続けることは考えにくいので、楕円軌道で白色わい星に近づいて、捕獲されたのではとも提案しています。
#論文に載った光度曲線をみると、4/17の方も、測光誤差が大きめなのではっきりしないものの、減光幅はもう少し大きそうです?
さて、KIC 8462852よりずっと暗く、17等なのに加え変光が早いので、観測するには大きな口径が要りそうですが、40cmでの観測例もあるので、頑張ればどうにかなるかもしれません。
おまけ:
Santa Barbara(SBIGでお馴染み)で、11月にK2SciConという、K2ミッションのシンポジュウムが開かれるそうです。