meineko’s blog

元つくばの某独立行政法人勤務の植物屋です。最近は、ほぼ、突発天体の話題です。

カメラレンズでの撮影

短焦点の光学系とCCDの組み合わせでは、組み合わせによっては、CCDのピクセルサイズに対して星像が小さくなり過ぎることがあります。
そうすると、CCDピクセル内の場所による遮蔽の違いから、正確な光度が測れないことがあります。


で、最近使っている、24mmレンズ(開放F2.8)+DSIproIIの組み合わせでテストをしてみました。
9/24、β Lyrの画像で、Vフィルター、絞りF4、露出はどれも30秒です。ばらつきは、5枚撮影の標準偏差です。

撮影条件 等級 ばらつき
ガイドなし、フォーカスぼかし 4.00 0.009
ガイドあり、フォーカスぼかし 4.07 0.012
ガイドあり、フォーカスあわせ 3.64 0.93

光度だけ見ると、ガイドありとなしと2つに分かれているだけで、これだと、フォーカスをぼかした影響でといえなくもなさそうですが、ばらつきをみると一目瞭然で、ガイド+フォーカスが合っている組み合わせは、ばらつきすぎです。
#フォーカスわせと、ぼかしの差は、比較星のγ Lyrのアパチャへの周辺星のコンタミも影響していそうですが。


なお、レンズの焦点距離がもう少し長ければ、影響が減りますし、CCDのピクセルサイズにもよります。
ピクセルサイズが小さいほうが、影響が大きいですが、チップ上の回路の配置やマイクロレンズの設計にも拠ると思います。
この結果を鵜呑みにせずに、同じように、カメラレンズ系で撮影しようと思った際は、各自テストしてみることをお勧めします。


で、フォーカスを合わせても、固定撮影なら星像が伸びるし、ぼかしたのと同じにならないかと考えて、別に日にテストしてみました。
10/8で、他の条件は9/24と同じです。

撮影条件 等級 ばらつき
ガイドなし、フォーカスぼかし 3.46 0.005
ガイドなし、フォーカスあわせ 3.55 0.013

フォーカスぼかしの方がばらつきをみると若干よさそうです。
しかし、ばらつき以前に、等級差が0.09等あります。


チェック星のζ Lyrは、

撮影条件 等級 ばらつき
ガイドなし、フォーカスぼかし 3.92 0.038
ガイドなし、フォーカスあわせ 4.04 0.009

と、やはり、ぼかしの方が、0.12等明るいです。
等級が違うのは、やはり、比較星のγ Lyrの方の影響もあるかもしれません?
#アパチャサイズは、同じなのですが。


ところで、ζ Lyrの等級は、4.04の方が、カタログ値(4.34+5.73v)に近そうです。
#他の日の測光結果ともあっています。
というわけで、固定撮影なら、フォーカスを合わせていても大丈夫そうだとわかったので、最近は、固定撮影の際はフォーカスを合わせて撮っています。
カメラレンズ+CCDのシステム、いじりだして結構経ちますが、系統誤差も含めて精度を0.1等位にするのには、まだ、苦戦させられています。
#測定のばらつきだけなら、0.02等級くらいに収まることも多いのですが。


で、おやくそくをひとつ。
「だから、システム評価をする際は、変光星でなく、光度のわかっている星でやろうね>自分、JK」


(追記)
同じ問題を、mini Borg60ED+ST-9XEの捜索用望遠鏡でも抱えているのですが、あちらは、測光精度は、はなからあきらめています?