meineko’s blog

元つくばの某独立行政法人勤務の植物屋です。最近は、ほぼ、突発天体の話題です。

スピカの距離

かすてんさんのところの話題、

中井さんの掲示板に斎藤究哉さんから、ヒロインが言う「スピカまでの距離は350光年!」は違うんじゃないかというコメントがあった。その指摘を読んで私も他の資料で確認してみた。あららら、270光年(『天文年鑑2009』)くらいだ。

天文年鑑』1998年版が350光年、1999年版が270光年です。この時期に観測値が大きく変更されたのですね。その理由はどなたか調査をしてください。

スピカの350光年という距離がどうやって測られたのか、原典をたどれてません。
地上からの年周視差の測定限界が、1/100"くらいらしいので、350(約100パーセク)光年てのは、結構ぎりぎりの線ですね。
ちなみに、Yale Bright Star Catalogでの年周視差は、0.023"ですが、これだと、140光年くらいになってしまいます。
スペクトル型B型の連星なので、絶対等級-2.5等くらいの星の連星(-3.25等)として、見かけの明るさ0.98等で距離を計算するとこちらでも、228光年くらいになってしまいます。350だと、ちょっと明るすぎますね?



で、1999年版で距離が変わった理由の類推は、簡単です。
HIPPARCOSカタログの発行が、1997年だからです。
#締め切りの関係で、1998年版には間に合わなかったのでしょう。
HIPPARCOSカタログでの視差は、0.01244"なので、262光年ですね。


この辺の事情は、 国立天文台・天文ニュース (156)北極星の距離は430光年