meineko’s blog

元つくばの某独立行政法人勤務の植物屋です。最近は、ほぼ、突発天体の話題です。

冷却温度

KAF-8300のデータシートを読んでいたら、-20℃が、保証最低温度でした。
ただし、カラー版限定で、理由は、CCDに組み込んであるカラーフィルターが割れてしまうからだそうです。
理由は、CCDの材料のSiとフィルターの材料の膨張率の差かなと思ったのですが、どうでしょう。
このほか、冷却して使うことを想定して設計されていないCCDチップは、マウント上のシリコンチップの保持の方式が、材質の差による膨張率の差を考慮してない場合もあって、扱いに注意が必要です。


CCDは、光を当てなくても電荷が発生します。ダークノイズとか暗電流とか呼ばれます。
露出時間に比例して増えますが、冷却すると、ノイズが減ります。一般的に、6度違うと2倍違います。
で、長時間露出が必要な場合は、冷やして使います。冷却CCDカメラと呼ばれる所以です。
で、プロが使うカメラの場合は、液体窒素で冷やして-100℃くらいだと、暗電流は殆んど問題ないくらいの少なさになるそうです。
なお、ご存知のように、液体窒素は、-196 ℃です。この温度で使いたいところですが、あまり低すぎると転送効率が落ちるので、-100℃くらいで使うそうです。
ちなみに、-100℃まで冷やすのは、なかなか大変で、CCDを入れたチャンバーを高真空にしないと、気体が対流で熱を運んでしまったするそうです。


では、アマチュア用の冷却CCDカメラも-100℃にしたいところですが、これが、なかなか難しいです。
液体窒素は扱いに注意が必要ですし、なにより消耗品で高いです。
ということで、電子冷却式を使うのですが、冷やそうと思って多段冷却にすると、消費電力が増えますし、除いた熱をうまく逃がす工夫が必要です。
というわけで、外気温より-50から60℃でも、優秀な方です。
外気温-60℃として、気温25度の時は、-35℃程度となります。
あと、長い露出時間の間、設定温度のまま一定に保つ能力のほうが、どれだけ冷やせるかより大変な場合も多いです。


なお、ピクセル当たりのノイズが低いって表現もよく見ますが、最近のようにピクセルサイズが小さいCCDでは、ピクセルあたりでは値が小さくなるのは当たり前ですから、データシートを読む時に注意が必要です。
単に、ダークノイズの多寡よりも、ダーク補正できちんとノイズが消せるかどうかのほうが大切です。