周期10.5日の一見なんのことはないアルゴル(EA)型食変光星です。
Natureの9/17号に載ったDI Herの軌道の歳差運動(近星点移動)が理論と合わない理由の論文が載りました。
Misaligned spin and orbital axes cause the anomalous precession of DI Herculis
Simon Albrecht, Sabine Reffert, Ignas A. G. Snellen & Joshua N. Winn
Nature 461, 373-376 (17 September 2009)
ぱっと見で、何故、Natureに載ったのかわからなかったんですが、イントロに、
The observed precession rate is a factor of four slower than the theoretical rate, a disagreement that once was interpreted as evidence for a failure of general relativity.
(意訳:観測された際差運動の比率が理論値の4倍遅くて、かって、一般相対論と合わないと言われていた)
とありました。なるほど。
で、新しい説明をつけて、一般相対論は別に間違ってないよということらしいです。
#註:ここは、後の追記の様に飛躍し過ぎでした。
なお、観測は、ヨーロッパの分光マニア達の夏のキャンプで有名なObservatoire de Haute-Provenceの1.9-m望遠鏡で行われています。
星の自転の影響で、説明が出来るらしいです。
こういう星の観測ではも、切り口さえ考えれば、Natureに載るよという話でした。
(追記)
VSOLJのMLでKatさんに突っ込みと、詳しい解説をいただきました。
斜めどころか、つまみ食い的にしか読んでいなかったのが、ばればれですね。
Katさんによれば、今回の論文の主眼は、
Rossiter-McLaughlin effect というのは食を利用して自転を調べる方法で、古くから知られている方法ですが、近年脚光を浴びてます。つまり系外惑星の親星の自転速度や惑星の軌道傾斜を知るのに盛んに使われているためです。それを古典連星に適用したらえらいものが出てきた、ってところでしょうか。
とのことです。
どうも、そうやって求めた自転軸が、主星、伴星とも軌道面と直行してないということのようです。
これで、そもそも、自転軸が、公転面に対して直行しているという前提で求められた理論値との差が出るようです。
しかし、連星系で、どうして自転軸かたむいているのかというところが、問題です。
これについては、第3体の影響(Kozai effect)では、ないかと提案しています。
この星の第3体があるのではないかという指摘は、以前からいろいろあるようです。
この星、食外での変動も指摘されているのですが、それも、今回わかった、傾いて回っているってので説明できないですかね?