meineko’s blog

元つくばの某独立行政法人勤務の植物屋です。最近は、ほぼ、突発天体の話題です。

放射線による突然変異

仕事柄、植物にガンマ線を当てて突然変異を誘発するのは、よく使う手法です。
ただし、この場合、突然変異をある程度有意な確率で起こさせるのには、放射線の量をかなり高くしないといけません。
どのくらいかというと、死ぬか死なないかのぎりぎりの量です。
少なすぎると、突然変異の入る個体の数が少なくなりすぎますし、高すぎると芽が出てきません。


上記の話は、目的の遺伝子に突然変異が入った個体を得ようという場合の話で、もっと弱い線量でも、注目してる遺伝子とは違った遺伝子に形態等を見たのではすぐ判らない様な何らかの変異が入っているのかも知れません。
でも、放射線による変異は、普段の突然変異の時のような複製時の1置換では無くて、もっと長い配列の欠損とかの影響が出る場合がほとんどです。
DNAの切断が起こっていると思われます。
切断されて修復されれば、変異個体になりますが、修復されなければ淘汰されてしまいます。
という訳で、弱い線量では、やはり、影響は出にくと思います。
#紫外線だと、チミジンダイマーとかができて、塩基置換による変異が起るのですが。


という訳で、放射線による変異の誘発は、欠損変異が多いので、劣性遺伝しかしないので、実験方法としては避けて他の変異誘発方法を選ぶ方も多いです。
塩基置換の場合の影響は、理論的には凶に出るとは限らず、吉に出るかも知れません?
#それより吉でも凶でも無い中立な変異の方が多いのですが。
#一塩基置換でも、それによってストップコドンが生じたりすると、欠損変異になります。