id:NATROMさんのところのコメント欄に反応。
#コメント欄に書くにはちょっと複雑だし、他所のコメント欄に横やりを入れるのははばかられたので。
冥王星の扱いについてのこのところの動きに関する記載の中で、冥王星の発見は「単なる偶然」という言葉が、散見されます。
#たとえば、OKwaveでも見た。
これは、話を単純化しすぎている+トンボーの業績を矮小化している気がするので、ちょっと、書きます。
天王星の動きの乱れを元に、計算で予想されて海王星が見つかった話は有名です。
計算したのは、少なくともルベリエとアダムスの2人いて、ルベリエ+ガレのコンビに栄冠がいった訳ですが、これについても、wikipediaあたりの記述によると、
ただし彼らが計算した軌道と海王星の軌道は大きく異なっており、たまたま予想位置の近くにあったために発見できたとも言える
ということになっています。偶然?
まぁ、でも、ニュートン力学の賜物でした。
で、海王星の動きについても、すぐに、計算と合わないという話が出て、多くの人が未知の惑星について計算をおこなっていました。
ローエルもその1人でした。
トンボーは、ローエルの死後、ローエル天文台で、系統的に黄道付近の写真捜索を行い、未知の移動天体=冥王星を発見しました。
当時の写真乾板の感度は低く、撮影には、長時間の露出と、その間の付ききりでのガイドが必要でした。
一般的な偶然というイメージと違って、苦労しています。
#でも、トンボーが雇われたのが、1929年暮れで、発見は1930年2月らしいけれど。
ところが、発見当時から、予想される冥王星の質量からは、海王星の軌道に影響を与えないことがすぐわかったそうです。
#たとえば、ここ参照
その後、惑星探査機によって海王星の質量が正確に決まったので、想定されていた様な海王星の軌道に対する未知の惑星による影響を想定する必要が無いことがわかりました。
#このあたりが、偶然という言及の火元でしょう?
この当たりの詳しい話は、うちより、ザ・ナインプラネッツの付録6まぼろしの惑星惑星Xに詳しいです。
(追記)2007/3/24追記
青蛙さんから、議論への参加のお知らせを受けていたのですが、気づかずにいました。申し訳ありませんでした。
で、上記の文章を読み直してみると舌足らずのところがあったので、補足しておきます。
「冥王星の発見は、偶然だった(or のですか?)」
という言及を複数読んで、
偶然という言葉から受ける印象が、
の2つがある様に思えたのですが、最初の方だと思われると、ローエルやトンボーの功績が、誤解されるのではないかと、老婆心ながら書きました。